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ローカル5G④ ~3つの特徴と3GPPについて~

はじめに

ローカル5G(5G)の特徴についてネットで調べたりすると超高速大容量・同時多数接続・高信頼超低遅延といったワードが出てくるかと思います。
今回はそれらについての説明と制定している団体についてのお話をしたいと思います。

超高速大容量(eMBB)

その名のとおり、凄く早くて多くの容量(データ)をやりとりできる通信のことです。
多くの方が 5G という言葉からイメージするのがこれかなと思います。

「5G では2時間の映画が3分でダウンロードできる」みたいなことがよく言われていますが、この超高速大容量通信に必須なのが Massive MIMO と言われる技術で複数のビーム(電波)を束ねることで超高速かつ大容量な通信を実現しています。

余談ですが、5G や 4G の通信はベストエフォートというエリア(電波の届く範囲)内のユーザ数に応じて速度が変動する方式を採用しています。
エリア内のユーザ数が少なければ少ないほど端末の理論値(スペック値)に近い速度を実現できます。なので、キャリア5G と比較して閉域なエリアで展開されるローカル5G では高速な通信を体感しやすいかもしれません。

同時多数接続(mMTC)

多くの端末が同じネットワークに繋がっている状態のことです。この場合のネットワークは基地局やホームルータなどの通信を制御する装置と読み替えても問題ないと思います。

同時多数接続は主に工場などの産業界での利用が期待されておりそちらでのユースケースが多いですが、今後は我々の生活に直結したもの例えば、家庭内にある様々なものが 5G に接続されるといったユースケースも出てくると思われます。

eMBB と mMTC のイメージ図

高信頼超低遅延(URLLC)

許容される遅延が 1ms 以下や信頼度が99.99999% といった非常に高い信頼性のある通信のことです。
機器の遠隔操作や自動運転などの遅延することが致命的になる分野での利用が期待されています。

3GPP とは

ここまで 3つの特徴についてお話しましたが、次はこれらの特徴(仕様)をどこが決めているかについてお話します。

決めているのは 3GPP(Third Generation Partnership Project)というプロジェクトです。
ややこしいですが、世界中の国や地域の団体が参加しているプロジェクトであり団体ではないので、いわゆる法人格はありません。日本からは ARIB(電波産業会) と TCC(情報通信技術委員会)という団体が参加しています。

3GPP という名前の由来ですが、元々は第三世代携帯電話(3G)に関する仕様を制定していたプロジェクトですが、そのまま名前を変えることなく現在では主に 5G の仕様を制定しています。
前の世代である LTE に関しても数は少なくなりましたが、現在でも機能拡張の議論をしています。

3GPP で制定された仕様は Release という名前で数年に一度公開されます。5G に関する仕様の多くは Release 15 と 16で制定されています。

まとめ

今回は 5G の 3つの特徴とそれを決めている 3GPP というプロジェクトという 3繋がりの話をしました。
現時点で 3つの特徴全てを同時に満たすのは難しいです。特に超高速大容量と同時多数接続を同時に満たすのは難しく通信速度が凄く早くて沢山の端末にも繋がり、それでいて遅延が殆ど発生しないといった夢のような機器は今のところ存在しません。
将来的にミリ波よりさらに高域の周波数の解放などがあればこのような端末の実現も可能となると思いますので期待をしたいです。

参考資料