弊社ではDPI装置、トラフィック管理・可視化装置としてSandvine社のAL(ActiveLogic)、MPE(Maestro Policy Engine)、IDS(Insights Data Storage)などを提供しております(Sandvine社製品の詳細はこちら)。
今回はMPEとIDSを使用したユースケースをMVNO導入構成をベースにご紹介させて頂きます。
Sandvine製品導入構成例
MVNO(L2接続)環境でSandvine製品を使用する場合の構成例です。
MPEは加入者情報管理、ALはトラフィック制御(DPI)、IDSはトラフィックの統計情報ストレージです。MPEとALが連携することで加入者単位の制御や加入プラン毎の制御が可能となり、IDSで保存する統計情報にもこれらの情報が保存できるようになります。AAA(RADIUS)やPCRF/OCS等の機能についてはこちらを参照。
MPEによる属性情報と加入者情報の紐付け
MPEはMaestro Policy Engineという名の通りPolicyを管理できます。
ここでのPolicyとは「どのようにユーザ情報を管理するのか」ということになります。
MPEはRADIUS、DHCP、GTP-C、API、Text-input、PCRF/OCS等と連携することで加入者情報・属性情報を取得し、管理します。
MVNO事業での「加入者情報」を例に考えると、以下のようなテーブルができます。
「電話番号」はキーとなる情報。それ以外の「性別・生年月日・住所」が電話番号(加入者)に紐づく属性情報です。
上記MVNOでの導入構成で考えた場合、まずAPI等により電話番号とその他加入プランなどの属性情報をMPEへ登録しておきます。
加入者が接続するとIPアドレスが割当られ、接続した加入者の電話番号とIPアドレスがRADIUS Accounting RequestというメッセージでMPEへ送信され、MPEに登録された加入者情報にIPアドレスが紐付けられます。これにより加入者がどれだけ通信を行っているか、が管理できるようになります。
またモバイルではPCRF/OCSと連携して通信制御ポリシーを設けることが一般的です。Diameter PCC-Rule-nameという形でMPEに割当ポリシー名を送信することで、ユーザと通信制御ポリシーの紐付けが可能となります。
これにより、例えば利用プランの上限まで使い切ってしまい通信制御状態=低速ポリシー割当へ切り替わったとしても、それぞれのポリシーでどれだけ通信をしていたか追跡可能となります。
IDSによる統計情報と属性情報の活用
先にも触れていますが、IDSはトラフィックの統計情報ストレージです。
IDSではMPEで登録されている加入者テーブルと、加入者がどれだけ通信しているかという通信データを保存・保持しています。
IDSおよび属性情報を利用するメリットして「柔軟なデータの集計」があります。
例えば加入者Aさんの5月のプランは5Gプランでしたが、月の途中で使い切ってしまい、しばらくの間は制限状態=低速通信で過ごし、その後1ギガを追加購入したとします。このとき、基本的に変更となるのはPCCによる制御ポリシーのみです。
属性情報がない場合、検索・集計できるデータとしては時間毎・日毎の通信量または5月全体の通信量だけになります。
属性情報としてプラン名、PCC Rule-Name(制御ポリシ名)を持った場合、Aさんの5月の通信量は以下のパターンで検索・集計できます。
- 5Gプランでの通信量(= 5月全体の通信量)
- 高速ポリシー適用時の通信量
- 低速ポリシー適用時の通信量(= 制限時の通信量)
- 中速ポリシー適用時(=追加購入分)の通信量 etc…
また属性情報を持つことで「10Gプランに加入している20代男性の5月の高速ポリシー通信量」といった少し複雑な集計も可能となり、より深くユーザ動向を把握することができるようになります。
さいごに
今回はMPEおよびIDSを使用した属性情報の活用についてご紹介しました。
本記事ではMVNO事業での使用ケースをベースとしていますが、属性情報を付与することで固定系事業でも同様により柔軟なデータの集計、通信動向の把握が可能となります。