はじめに
ローカル5G の運用には免許が必要で総務省(総通局)に申請をする必要があります。今回はこの免許申請に関するお話をしようと思います。実はこのネタは以前に実施したオンラインセミナーでもお話をしたことがあるのですが、セミナーから時間が経過しており、当時お話した内容が情報として古くなっている箇所もあるので改めてお話することにしました
申請の大まかな流れ
免許申請の大まかな流れとしては以下の表のようになります。この順番通りに必ず実施しないといけないと言った訳ではありませんので、実施可能のものから実施したり、同時進行したりして臨機応変に進めていくのがよいと思います。
交番 | 作業内容 |
---|---|
1 | 各種諸元値、アンテナパターンの取り寄せ |
2 | エリアシミュレーション |
3 | 干渉調整 |
4 | 申請書作成 |
5 | 必要な書類の用意 |
6 | IMSI申請とSIM発注 |
7 | 申請書提出 |
8 | 免許交付 |
各種諸元値、アンテナパターンの取り寄せ
申請書に雑音指数やアンテナ利得について記載する箇所があるのでそれらの値が記載されているスペック表をメーカーから取り寄せます。免許の申請は基地局と端末両方の申請を行う必要があるので、忘れずに両方のスペック表を取り寄せて下さい。
アンテナパターンとは基地局から出る電波がどの方向の同程度出るかが記載されたものでグラフ形式だったり、数値化された表だったりとメーカーによって形式は異なります。このアンテナパターンは次に記載しているエリアシミュレーションに必要な情報です。
エリアシミュレーション
エリアシミュレーションは基地局の設置前に、電波の飛ぶおおよその範囲と強さを把握するために実施します。事前作業としてサイトサーベイで設置場所のガラスの厚さや壁の素材などから通過損失(ガラスや壁を通過することでの電波の劣化具合)を算出したあとにシミュレーションを行います。
シミュレーションには専用の測定器を使用しアンテナパターンをデータ化したものを使用します。結果は電波の強さを示すヒートマップ形式で免許申請の際に提出するのが通常です。
干渉調整
ローカル5G 導入の際には、他者へ影響を与えない(干渉しない)ことが条件のためキャリアの5G や他者が導入済みのローカル5G と交渉を行う必要があります。
どこと交渉をすべきかは総通局に問い合わせれば教えて貰えます。必要に応じてエリアシミュレーションの結果などを提示し干渉しないことを明確にする必要があります。
交渉の結果、干渉することが分かった場合は、基地局の向きを変えたり出力を落とすなどの対策をして干渉しないように工夫をする必要があります。
申請書作成
免許申請の際に必要な書類は申請する種別(実験局か、一般局か等)や区分(新規か、変更か等)で変わりますが以下の3つの書類は必ず必要となります。
- 無線局申請書
- 無線局事項書
- 工事設計書
- etc…
IMSI申請とSIM発注
ローカル5G は999002から始まる専用の IMSI を使用するので総務省の移動通信課に取得申請を行います。取得後はその IMSI が書き込まれている SIM を用意する必要があります。
ただし、実験局の場合は専用の IMSI を使用する必要はないので携帯キャリアか MVNO が提供するSIMを使用します。
申請書提出
申請に必要な書類の準備ができたら総通局に提出しレビューをしてもらいます。レビューは書類を持ち込んでの対面でのレビューとメール等で書類を送付しての電話でのレビューを選択することができます。
レビューの結果、問題がなければ免許の交付となりますが、指摘事項があった場合は修正後に再レビューとなります。
免許交付
免許の交付ですが、申請した機器が技適を取得しているかどうかで発行される免許とその後の流れが変わります。
技適取得済みの機器で申請を行った場合
本免許が交付されます。
技適未取得の機器で申請を行った場合
予備免許が交付されます。その後、登録点検と言う専門の業者が実施する技適取得の検査に相当の点検を受けます。点検結果を総通局に提出し審査(落成検査)を受けます。審査に合格すると本免許が交付されます。
まとめ
このようにローカル5G の免許取得には様々な工程があり、書類の作成も容易とは言えないので申請の際は専門の知識を持った者を頼るのがベストかと思います。
レンジャーシステムズでは日本初のSA方式ミリ波の免許取得をサポートした実績がありますので免許申請でお困りの際はぜひ、お声がけをいただければと思います。
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