「安定した通信サービス」だけでは差別化が困難な時代
全国には大小様々な多くの通信事業者が存在しています。今となってはあらゆるものがインターネットに繋がり、それが当たり前になっていますが、安心してサービスを利用できるのはそれぞれの通信事業者による日々の努力があるおかげです。
一方で、昨今はネットワークの安定運用だけでは差別化が難しく、サービスに付加価値を持たせるという考え方が広がっているように思います。特に一般消費者をターゲットにしたサービスはその傾向が顕著であると推察します。
安定したネットワークの運用だけでなく、より魅力的なサービスを生み出すことが求められ、頭を抱えている方は多いのではないでしょうか。
多様なニーズに対応して柔軟なサービスを迅速に展開し、手間をかけずに運用できれば理想的です。「言うは易し」と思われるかもしれませんが、適切に仕組みを構築することで十分に実現可能と考えます。
取り入れるべき仕組み
「多様なニーズに対応した柔軟なサービスを迅速に展開し、手間をかけずに運用」を実現するには最低限、以下の3つを意識した仕組みが必要と考えます。
バックエンドで加入者情報やプラン情報を管理しているシステムは、特定のユースケースに最適化して開発されることが多いと思います。実現したいことが100%具体的に要件定義へ盛り込まれていなければ開発に進むことができず、納品時の検収も曖昧なものになってしまいます。これは、開発を外部に委託することが前提であれば致し方ありません。
一方で、このように要件が明確な場合はシステム間の依存度が高くなる傾向にあると考えます。新たなニーズが生まれた際にシステムを丸ごと作り直すような事態に陥ったり、サポートが切れたソフトウェアを継続使用するために莫大な運用コストが発生するといった話を聞いたことはないでしょうか。
そこで、特に「柔軟なサービスを迅速に展開」するにはシステム間の依存度を下げることが重要であり、この考え方は海外のサービスを中心に既に広く行き渡っているものと思います。
さて、通信事業においてもこういった考え方は浸透しているのでしょうか。課題とは認識しつつも投資の優先順位は低いというのが実情ではないかと推察します。
サービスを展開する際、開発コストが発生することは当たり前だと思っていませんか?リリースまで何か月も、場合によっては1年以上かかる前提で考えていませんか?
開発の手間が無ければ、トライ&エラーを繰り返しながらサービスを育てる。育たなかったサービスは終息させ、新たなサービスを生み出す。そういったやり直しが可能だと考えます。
様々なアイデアを試行錯誤することが、この時代で魅力的なサービスを生み出す近道だと考えます。
これが最も重要な要素かもしれません。柔軟かつ迅速にサービスが開発できたとしても、ワークフローが複雑だと運用が破綻するおそれがあります。サービスによって業務マニュアルが分かれていたり、プロセスにイレギュラーがあると、それらがボトルネックとなって余計なコストを生み出し、サービスの展開スピードを下げる原因になります。
そこで、システム間は疎結合でありながら、共通のワークフローを提供するプラットフォームが必要と考えます。
CSGのプラットフォームサービス
「CSG(CSG Systems International, Inc.)」という会社をご存じでしょうか。
https://www.csgi.com/
米国コロラド州デンバーに本社を構え、130ヵ国以上、1,000社以上に採用されているSaaSプラットフォーム企業です。名だたる有名企業・通信事業者にも多く採用されています。それぞれの企業・通信事業者のビジネスモデルに対してマネタイズとトランスフォーメーション※の未来像を描き、目的をもって課題解決を支援することを強みとしており、40年以上の実績を有します。幅広い技術と実績を武器に急成長しており、注目されているプラットフォーマーです。
※トランスフォーメーション・・・クラウド化、AI化、自動化、ペーパーレス化といった技術を取り入れた単なる業務効率化ではなく、ビジネスモデルの変革をサポート。
本社を構えているデンバーはハイテク&ITソフトウェア産業の集積地で、米国で最もイノベーションを起こしている地域です。激しい競争の中で得た多くの実績と技術力を携え、満を持して2024年から日本でも本格的にサービス提供を開始しました。
プラットフォームを紹介する前に、CSGが注目されている理由に触れてみたいと思います。
- 長きに渡って世界中で積み上げてきた豊富な実績(130ヶ国以上、900社以上)
- プラットフォーム導入時の手厚いサポート(98%のプロジェクトが期限内に完了)
- サービス開発における「スピード」「精度」「柔軟性」の実現を重視したプラットフォーム思想
中でもプラットフォーム導入時の手厚いサポートについて掘り下げたいと思います。
こういったプラットフォームの導入にあたって多くの場合、発注者側が明確な要件をベンダーに提示し、ベンダーはそれに従って設計・開発を進めると思います。プロジェクトを進める上でのリスクコントロールは発注者側が責任を持つことが一般的ですが、それには製品やサービスを深く理解することが求められます。製品知識に乏しく、それが原因で重大な要件漏れや認識齟齬が生じ、プロジェクトが遅延した。という話を誰でも一度は耳にしたことがあるはずです。
CSGは世界中で積み上げた実績に基づき、プロジェクトを成功に導くための確かなフレームワークを提供しています。顧客のビジネスを深く理解して伴走するため、導入時のリスクを最小限にすることが可能です。
CSGは前述した「取り入れるべき仕組み」3要素全てに対応したBSS(Business Support System)のプラットフォームを提供しています。実装している機能を簡単に紹介します。
TMForum標準※に準拠したAPIを豊富に備えており、以下のように様々なシステムと連携して柔軟にサービスを構築・運用することができます。
※TMForumとは・・・BSS/OSS等のアーキテクチャやAPIの標準化活動を行っている国際団体
BSS単体だけでなく、ネットワークインフラと連携するためのPCF/PCRFやSMSCといった機能も提供しています。また、サービスカタログの設計などプロダクトマネージャー/ビジネスアナリストの業務を支援するような情報分析機能も提供しています。
さいごに
当社はこれまでネットワーク設備の運用を中心に、様々な通信事業者を支援してまいりました。通信サービスにおいて最適なコストで安定したネットワークの運用を実現することが最も重要であることは言うまでもありませんが、それだけでは事業を継続するには足りません。
魅力的なサービスを生み出すためにも、今回紹介したようなマネタイズの仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか。