Sandvine社にはActiveLogic(AL)、Maestro Policy Engine(MPE)、Insights Data Storage(IDS)など複数の製品があり、その活用も様々です。本記事ではSandvine製品の活用についていくつか事例をご紹介いたします。
ヘビーユーザ制御/公平制御
帯域輻輳の主な原因の1つとして、ヘビーユーザーによる過度な帯域使用があります。一部のヘビーユーザーが帯域を占有してしまうと、サービスの公平性を損ねてしまうおそれがあるため、適切な管理が必要です。ヘビーユーザの管理以外にも、通信が集中しやすい時間帯の公平性確保も重要な課題です。
ヘビーユーザー対策では一定期間で通信総量に制限を設けることが一般的ですが、他にも様々な管理手法があります。
適切な管理方法を検討する上で、アプリケーションや時間帯に応じてトラフィックを可視化・分析し、通信の集中やヘビーユーザーが発生する傾向を把握することが重要です。
SandvineのActiveLogicを用いれば、アプリケーションや時間帯に応じて ユーザーごとの利用帯域を均一に制御することが可能です。
傾向を把握して適切に制御することで、体感品質を損なうことなく公平なサービスを提供することができます。
モバイルサービスの柔軟なプラン設計
昨今モバイルサービスは競争が激しく、差別化が大きな課題となっています。SandvineのMaestro Policy Engineを用いることで、柔軟にサービスプランを設計することが可能です。
Sandvine製品はアプリケーションや時間帯に応じた帯域制御が可能ですが、これらは課金要素としても使うことが可能です。月々5GBなど、通信量に制限を設けるだけの一般的なサービスとは全く異なる思想でサービスを設計することができます。
リアルタイム分析
いかに帯域全体の品質を管理していても、ビデオ配信やゲームなど一部のアプリケーションで体感品質が低下するとサービスの解約につながるおそれがあります。アプリケーションの体感品質を把握することが重要と考えます。
SandvineのInsights Data Storageを使用することで体感品質をリアルタイムに可視化することが可能で、可視化された結果に応じて帯域を制御することで体感品質を維持・向上させることができます。
また、可視化された情報に加入者の属性情報を加えて分析することも可能です。属性情報の活用に関しては、こちらの過去投稿記事でも説明しておりますので、是非ご覧ください。
Gaming QoE分析
特にゲームはここ数年でトラフィックが増加傾向にあり、中でもアップロードのトラフィックが着実に増加しています。クラウドゲームを始め、ゲーム市場が進化したことが理由と推察します。
サービス品質を維持するにはSandvineのGaming QoE分析という考え方を取り入れることが有効です。
これはゲームに適したQoEメトリックとKPI(以下項目)を測定することで、ゲームトラフィックを詳細に監視、レポート、分析するというものです。
Gaming QoE分析のメトリックには以下が含まれます。
- スループット (帯域幅) :ゲームのダウンロードやゲームビューのレンダリングに必要なスパイクや突然のバーストを捕捉するために 256 ミリ秒ごとに計算
- レイテンシ:インターネット側とユーザー側の両方で、1 秒または5 秒ごとに計算
- パケット損失:インターネット側とユーザー側の両方で、5 秒ごとに計算
- ジッター:インターネット側とユーザー側の両方で、1 秒ごとに計算
- パケット間到着時間:インターネット側とユーザー側の両方で、1 秒ごとに計算
上記のメトリックをもとにゲームタイトルは勿論、ユーザやデバイスごとの体感品質をリアルタイムに分析でき、適切に帯域を設計することが可能となります。
脅威分析
サイバーテロは進化を続けており、事業者が悪意ある組織化されたサイバー犯罪者からネットワークを守ることは重要な課題です。特にDDoS攻撃は以前にもまして急増しており、ネットワークの品質に影響を及ぼしています。
これらの攻撃を積極的に検出して軽減し、安全性の高いネットワークを維持する必要性が高まっております。
Sandvine製品には、セキュリティおよびサイバー脅威に関する2つの活用方法があります。
Cyber Threat Analysis
ネットワークからほぼリアルタイムの情報を収集し、脅威の検知と傾向の分析を行います。
Cyber Threat Management
悪意のある脅威をリアルタイムでブロックします。
脅威を早期にブロックし、ユーザーが安心して利用できる環境を提供することが可能です。
サービスごとのパフォーマンス分析
ネットワークの品質に問題が発生した場合、運用者は早期に問題を特定し、直ちに対処する必要があります。そのためにはネットワークの状況をリアルタイムに分析可能なツールが必要です。
Sandvine 製品はそのようなネットワークの運用監視ツールとして活用することも可能です。
ActiveLogic によって収集される膨大なデータから各ネットワークセグメントのパフォーマンスや特定のアプリケーションの詳細な情報が取得可能です。そのため、運用者はダッシュボードでリアルタイムでサービス提供状況を把握できます。
ピアリング運用への活用
事業者はピアリング接続の使用状況や品質を正確に分析・管理することでコストを抑え、より高品質なサービスを提供する必要があります。
インターネットの相互接続はすべてのルートが同じコストではありません。また、適切にルーティングしなければ通信が遠回りになったり経由するASの輻輳に巻き込まれるなど、品質低下を招くおそれがあります。
Sandvine製品はピアリング運用でも活用することが可能です。
Sandvine独自のQoEメトリックを使用して各リンクの品質や、ASパスなどの経路情報を取得することが可能です。優先度の高いピア先を分析し、ピアリングの最適化を図ることでコストや品質の向上を目指すことができます。
さいごに
上記は活用例のほんの一部であり、他にもさまざまな活用方法があります。
当社でのSandvine製品の取り扱いは長く、製品およびAppQoE技術に精通したエンジニアが在籍しております。検討から導入、運用までフルサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。