12月16日に株式会社モバイルアーツとのMVNOコンサルティング領域における業務提携を発表いたしました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000017495.html
業務提携に至った経緯や、これからのMVNOについて株式会社モバイルアーツ(以下、モバイルアーツ)の代表取締役 萩原智晴氏とレンジャーシステムズの代表取締役 成田翔一に語っていただきました。
MVNOとの出会い
萩原 レンジャーさんとの関係は、相原さん(レンジャーシステムズ前代表 相原淳嗣)が当時私の勤めていた会社にL2接続をやりませんかと相談に来たのが始まりでした。今はお互いにMVNOを支援する会社として、同じ分野で仕事をしているという関係ですかね。
成田 そうですね、モバイルアーツさんとは2015年頃からのお付き合いです。今でも萩原さん主催のMVNO業界の集まりに呼んでいただいています。
萩原 成田さんが最初に参加された集まりはゴルフコンペでしたね。
成田 相原と私で参加させていただきました。
萩原 たまたま同じグループでしたよね。
成田 同じグループでしたね。そこから案件の相談はもちろん、一緒に提案などもしていて、約10年関係が続いています。
萩原 通信の仕事はもう25年近くになります。MVNOが世に広まる前は光ファイバーの営業会社、ISPをローミングで卸す会社、光ファイバーのインフラを使った事業会社。そしてMVNOは2014年から携わり、その後にモバイルアーツとして2018年に独立しました。
成田 萩原さんはブロードバンド時代の幕開けから通信の歴史を渡り歩いている感じですよね。
成田 私自身は元々ネットワークエンジニアで、Ciscoのルータやスイッチを扱っていました。2013年にレンジャーでMVNOの支援を始めることとなり、P-GWなどモバイル特有の技術をゼロから学びながらMVNOに必要なネットワークの構築に携わっていました。その後、一時的に別の会社で渉外業務を経験し、様々な学びを得てレンジャーに戻り、今に至るという感じですね。
ビジネスと技術、違った立場での支援
萩原 モバイルアーツではネットワークというより、ビジネス寄りの支援をしています。異業界から新規参入をしたいお客様は通信や技術的なことはもちろん、市場の動向や事業運営のことが分からない場合がほとんどです。モバイルアーツでは、やろうとしていることがビジネス的に成り立つのかアドバイスをし、サービスプランや運用の設計などをメインに支援しています。
成田 レンジャーは技術を提供する立場ですので、早く丁寧に、予算内で設備を構築することを大事にしています。初期構築だけでなく、サービス開始後の運用や品質管理まで支援しています。
萩原 数年ぐらい前からMVNOは飽和状態で新規参入が厳しいとも言われていますが、実際は参入を希望する企業は多いです。毎月数件は相談がきますし、多いときには一週間で数件来ることもあります。トータルで年間50社以上の相談がきますね。コロナでサービス業が厳しい中、新たな分野に挑戦するという意味で相談が一定数あったのですが、現在も相談のペースは変わりません。
成田 メイン事業のオプションとしてSIMを扱いたいというお客様が多いのですか?
萩原 そういうパターンが多いですが、中には個人の方が新規に会社を設立しMVNOを始めたいという相談もきます。
成田 レンジャーは設備の構築や運用がメインなので、新規参入を検討しているお客様が見えづらく、どちらかというと飽和しているのではないかと感じていました。既にMVNOビジネスを始めているお客様から、最低限のコストで品質の最適化を図りたいという相談が多いですね。サービス品質をいかに維持し、より良くしていくか。極力コストをかけずに、一緒に考えて実現しています。
業務提携による支援領域の拡大
萩原 MVNOに新規参入するお客様に対して、今までは次のステップとして自前で設備を持つという選択肢まで提示できていなかったため、今後はそういった選択肢も含めて、お客様と長くお付き合いできるようになると思っています。
成田 視野が広がりましたね。レンジャーは技術に特化した会社なのでビジネスの困りごとや、どのような企業が新規参入したいのかまでは見えていませんでした。そのため、実現したいことが具体的でないと力になれないこともありました。業務提携をすることで技術的な知見を持ってお客様の課題を見つけ、事業のアイデアを作ることも可能になります。どんなことでもMVNOについては我々に相談すればなんとかなると周囲から思ってもらえれば嬉しいです。
自社の色を加えることができるビジネス
萩原 MVNOはそのインフラやプラットフォームの上に、さらに自社の色を加えて様々なサービスが展開されていくので、MVNO毎に色を出せるサービスです。各社それぞれのビジネスの色を加え、必要とされるサービスを提供できるところに意義を感じてMVNO業界に入ってほしいという思いがありますね。
成田 大手キャリアは大多数に向けたサービスであることが一般的です。MVNOは小回りが利くため、それぞれが求めているサービスをピンポイントで送り届けることができます。それを求めているユーザは必ずいるので、特徴的なMVNOが更に増えていけば面白いと思っています。
萩原 世の中の殆どのサービスは通信が無ければ成立しないですし、MVNOも通信の一つなのでぜひ挑戦してほしいですね。
必要となる通信以外での武器
萩原 MVNOには大きな意義があるのでぜひ挑戦してほしいですが、新規参入をする際には顧客基盤や販路基盤を持っていることが重要です。もしくは唯一無二のサービスなど、通信以外で武器をもっていないと結果を出すのは難しいと思います。
成田 コンセプトは面白いのにサービスを開始してみたら伸び悩んでしまったMVNOも見たことがあります。ビジネスとして成功させるハードルが高いのは正直ありますね。
萩原 正直、新規参入をストップさせるのも一つです。相談を受ける立場として、そういった責任も負っていると思っています。失敗するリスクを負うのはお客様ですし、もし失敗してサービスの継続が困難となった場合、そのサービスを利用しているユーザに迷惑がかかります。ですので、まずは代理店ビジネスから始めることを提案することもあります。
成田 始めやすい形から始めて、ビジネスの成長に合わせてステップアップできると良いですね。
期待するこれからのMVNO業界
萩原 新規参入をしようというお客様は大体MVNEから回線調達をします。回線調達はSIMを再販するだけで難しくないように見えますが、実際の運用はそれなりのシステムやノウハウ、人員が必要です。そこはなかなか現在のMVNEからサポートを受けるのが難しい部分です。中心となるシステムを統一して提供できれば各社の負担も減りますし、新規参入もしやすくなるのでそこは実現していきたいですね。
成田 プラットフォーム化は求められていくでしょうね。音声フルMVNOや5G SAの対応、Beyond5G/6Gと、これから大きく技術が変化していくと思っています。今のMVNOは4Gの設備構成を基準に作られていますが、設備自体がどんどん複雑になっていくので、MVNEやMNOで今のような切り出しができなくなる時がいずれ来ます。そうなった際に全てのMVNOが設備をもつのは難しいので、共通のプラットフォームをMVNEが持つことが当たり前になると思っています。技術の進化とともにMVNOのビジネスモデルが変わっていくことに期待しています。
萩原 ネットワークエンジニアが足りていないですよね。素晴らしいアイデアやサービスを持って参入しても、単純な再販しかできない企業も多いのが現状です。そこをレンジャーさんが取りまとめていくのは面白いですし、各社の事業の幅が広がりますね。
成田 レンジャーはMVNAだと言っていた時期があります。MVN Aggregatorだと(笑)。一時期MVNEとしてプラットフォームを持っていた時期もありましたが、プラットフォーム提供者としてのMVNAではなく、MVNE、MNOを裏で支援するAggregatorを改めて目指すのも良いと思っています。
萩原 新規参入を考えるお客様は後を絶たないと思いますし、参入後にも持続的に成長できるよう、寄り添う形で支援していきたいです。これまでの参入支援も伴走型でやってきました。
成田 レンジャーも同じように伴走型でネットワーク構築や運用をやってきましたが、フットワーク軽くやっていくのが大事ですね。技術の変化は突然訪れますし、ビジネスモデルもそれに応じて変わっていきます。技術集団としてその時々で求められる技術をしっかり提供し、MVNOが抱えている課題を必ず解決までご一緒する会社だと思ってもらいたいですし、実際にそれを示せていければと思っています。
どんなに小さい悩みでも相談を
萩原 まだまだこの業界一丸となって盛り上げていく必要があると思います。ビジネスの発展に貢献することを目的に、情報交換の場として様々な集まりを主催しているので、ぜひ参加していただきたいです。もちろん話せないこともあるとは思いますが、狭い業界なので、同じような立場で同じような悩みを抱えている方が多くいらっしゃいます。そこをどう乗り越えていくのか、何を悩んでいるのかを話し合うだけでも解決の糸口が見つかったりします。社内に閉じこもらず、コミュニケーションをとってほしいですね。
成田 そうですね、一人で悩まないでほしいです。少しでも疑問や困ったことがあれば気軽に相談してください。我々に相談してもらえれば答えは必ず出せます。これから参入する方だけでなく、既にMVNOビジネスを始めている方もどんどん集まって業界を盛り上げられると良いですね。
【モバイルアーツについて】
https://mobilearts.jp
異業界からのMVNO事業参入を支援する目的で2018年に設立した通信コンサルティング会社です。
SIM調達先の選定アドバイスやシステム・オペレーションの構築支援、サービス設計やマーケティング戦略にいたるまで、豊富な実績をもつコンサルタントにより低コストでスピーディーなMVNO事業参入をサポートいたします。