はじめに
バズっているローカル5Gの陰でプライベートLTEなるものがあり、弊社では特にsXGPに取り組んでいると紹介しました。(詳細は下記より)
今回からsXGP環境構築についてシリーズ化してご紹介していきます。
必要なもの
- 端末
- SIM
- アクセスポイント
- EPC(ソフトウェア&物理マシン)
- 時刻同期システム(GPSアンテナ、グランドマスター、PTP対応ネットワークスイッチ)
上記が最低限必要なものです。
端末
スマホから始めてみるのが無難です。弊社で検証に使用している端末はシャープ社製のAQUOS sense3です。ネットで購入できます。以下のような小型ゲートウェイやルータもあります。
SIM
SIMには認証に用いる鍵(KI, OPcなど)の情報や固有のID(IMSI)が書き込まれています。MNOやMVNOで使用しているSIMのIMSIは事業者毎に割り当てられた番号を使用しますが、sXGPでは必ず「44190」から始まる番号を使用します。基本的にはアクセスポイントを購入する際にセットで購入できるため、あまり難しく考える必要はありません。
耐タンパ性に優れていることからWi-Fiと比べてセキュアと言われていますが、SIM認証≠端末認証であることは気を付けなければいけません。SIMを別の端末に差し替えても使えてしまうため、端末に制限を掛けたい場合は別の仕組みを考える必要があります。以下のようなサービスを活用することも選択肢に入るでしょう。
【トレンドマイクロ社】5G/ローカル5G環境を保護する新セキュリティソリューション「Trend Micro Mobile Network Security™」
https://www.trendmicro.com/ja_jp/about/press-release/2021/pr-20210408-01.html
アクセスポイント
屋内用の小型アクセスポイントが主流です。弊社で取り扱っている機種は以下の2機種です。
- Accuver社 SC-120J2(国内販売代理店: ビー・ビー・バックボーン社)
- Baicells社 pBS1109
Accuver社 SC-120J2
ビー・ビー・バックボーン社がSIMと端末、EPCなどワンパッケージで提供。
時刻同期にMNOの基地局を用いることが可能。GPSを用意する必要が無い。
Baicells社 pBS1109
SIMとセットで販売。アクセスポイントにEPCを内蔵している。
EPC
ピンからキリまであり、こだわり始めると数千万クラスのコストになりますが、オープンソースもあります。品質や機能、予算に応じて比較検討する必要があります。
- MNO/MVNOクラスの多機能&高品質EPC = Cisco, Affirmed Networks など
- プライベートNW向けEPC = Quortus, Athonet など
- オープンソース = NextEPC など
上記は弊社がご紹介・提案可能なEPCであり、他にも様々な選択肢があります。まずはオープンソースでユースケースを検証し、本格的な利活用を検討する段階で製品版の購入を検討することをお勧めします。
EPCの詳細については別途まとめようと思います。
時刻同期システム
sXGPはTD-LTE方式を採用していることから基地局の時刻同期が必要です。一般的に時刻同期といえばNTPが用いられていますが、sXGPではμ秒単位での同期が必要となることからPTPを用います。
- Grand Master = PTPのドメイン内で使用するクロック情報の親。
- Boundary Clock = Grand MasterのSlave(子)として動作し、下流機器にはMaster(親)として動作する。
- MasterとSlave間で遅延を測定して調整する。
- 間にPTP非対応機器があると破綻する。
- アクセスポイントに直接GPSアンテナを接続することも可能。(この場合PTPは不要)
まとめ
sXGPに必要なものをご紹介しました。次回以降はEPCに焦点を当てて実際に構築してみる「NextEPC篇」「SaaS篇」を予定しています。他にもご質問やリクエストがありましたら気軽にお問合せください。