~5G(SA)でMVNOは何が変わる?~ VMNO時代を見据えたレンジャーシステムズの取り組み

はじめに

当社はこれまで、広義のMVNEとして様々な角度からMVNO事業者を支援して参りました。

  • 事業企画支援(サービス仕様検討、コストシミュレーション、各種申請など)
  • ネットワーク構築(P-GW、PCEF、PCRF、AAA、L2/L3ネットワーク、仮想化基盤など)
  • 帯域運用支援(公平制御、帯域設定最適化、アプリケーション識別精度の評価など)
  • 遠隔監視(自社NOCでの24時間アラート監視) など

昨今では新規参入が落ち着いたこともあり、帯域運用のご相談を多くいただきます。当社はDPI製品の中でもモバイル領域に強みを持つサンドバイン社の一次代理店を務めており多くの実績がございますが、DPI製品ありきではなく、限られたリソースの中での創意工夫もご支援いたします。

↓DPIの紹介記事は以下
https://ranger-systems.co.jp/blog-engineer/archives/category/products/sandvine

また、完全内製でNOCを運営しており、アラート対応の自動化を実現しております。エンジニアの負担を軽減し、より生産的な業務に集中できる環境を作るためにも自動化の取り組みは重要と考えます。重要性は認識しつつも日々の業務に追われてなかなか着手できないという声も耳にします。このようなお悩みについても当社はご支援いたします。

MVNOの設備(4G/LTE)

MVNOは以下のような設備構成が一般的です。フルMVNOと呼ばれる事業者も存在しますが、ごく少数の大規模事業者であり、実現ハードルが非常に高いためここでは割愛します。

P-GW、PCEF、PCRFといった装置でユーザ単位の課金や速度制御を実現しています。提供サービスやテナントに応じてAPN(Access Point Name)を分けることでネットワークを分離している場合もあります。ルータで言うところのVRFを分けるイメージです。

過渡期のMVNO

解説しているサイトが多いため説明は割愛しますが、5GにはSAとNSAの2方式があります。2021年現在、MVNOでも5Gに対応したサービスが存在していますが、これらはすべてNSA方式を用いており、前述した4Gの設備で提供しています。そのため、提供可能なサービスは4Gと変わりありません。(無線区間の混雑状況や電波強度の違いで品質に違いが出る場合はあるかもしれません。)

NSA方式では4Gと同様にAPNやユーザといった単位で通信を制御しますが、下図の通り無線からP-GWまでの間は区別されません※1。特定のサービスやテナントのUplink通信を優先させたり、ミッションクリティカルな用途の通信にリソースを柔軟に配分するような機能は実現できないため、「ネットワークスライシング」や「MEC(Multi-access Edge Computing)」が実現可能なSA方式への対応が待たれます。

※1 厳密にはQCIというパラメータを用いた優先制御が可能ですが、設定可能な数に限りがあり、MVNOが指定することはできません。

SA対応に向けた議論の状況

総務省が開催している「接続料の算定等に関する研究会」で議論が進んでいます。テレコムサービス協会(以下、テレサ協)が中心となってMNOと協議し、その進捗を研究会で報告しています。報告書は以下で公表されています。

総務省 報道資料 「接続料の算定等に関する研究会」第五次報告書の公表
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban03_04000735.html

少しだけ当社の取り組みをご紹介します。

ローカル5Gの活用・連携

SA方式のMVNOは様々な構成パターンが検討されています。中でもコア設備をすべてMVNOが保有するフルVMNO※2は所謂RANシェアリングの考え方を発展させたものであり、実現すればMVNOの在り方を大きく変えることは間違いないと言えます。

※2 MVNO(Mobile Virtual Network Operator)ではなく仮想キャリア(Virtual MNO)という意味

当社はローカル5Gが制度化される以前よりグローバルベンダーと共同でローカル5G関連ビジネスの検討を行っておりました。高い品質・信頼性を持つ5G通信を限定された空間で使用可能なローカル5Gは画期的な制度であり、その動向は多くの方が注目しています。

一方、導入には多額の投資を伴うため、特にインフラ投資をコストと見るような場合は費用対効果がなかなか釣り合わず、断念してしまうことも少なくありません。MVNOの設備を用いることで投資費用を抑えつつローカル5Gを実現し、さらにローカル5GとMVNOのネットワーク間でサービスの連携が可能となることが考えられます。

当社はMVNO事業支援とローカル5G導入支援で培った経験を、このような新たなサービス創出に繋がる技術として掘り下げると共に、様々な意見・要望を伺いながら発展させていきたいと考えております。

おわりに

まだMVNOの5G活用は先行きが不透明な状態ではありますが、MNO各社の取り組みやローカル5Gの普及拡大に伴ってこれまでにないユースケースやニーズが生まれてくることが想定されます。今後もMVNOには多様なサービスを柔軟に実現し、市場の健全な競争を促すことが求められます。当社はモバイル業界の発展に貢献すべく今後もあらゆる通信事業者様と課題を共有し、二人三脚で取り組んでまいります。

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通信事業者向け『モバイルネットワークソリューション』

MVNO、ISP、CATV、BWA等の通信事業者を中心に、様々な企業のネットワークインフラ構築、運用を支援。 ローカル5G・プライベートLTE導入も、モバイルネットワーク構築の豊富な経験と実績を活かし、お客様に最適なソリューションをご提案いたします。

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